福澤心訓

4月22日金曜日晴れ△
IMG_1094 のコピー手元に随分昔に古本市で購入した「海軍兵学校生徒心得 昭和十九年版」(海軍兵学校著 今日の話題社 平成二年刊)という本があります。
海軍兵学校の生徒に向けて作られた本の復古本であり、当時の海軍兵学校校長・井上成美の名前がある。

 

 

 

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IMG_1083そして、豊田穣氏の著書「続江田島教育」(図書出版 眞龍社 昭和五十二年刊)には巻末に参考資料編として、「海軍兵学校教科書及参考書」海軍兵学校教育方針、礼法集成、精神教育資料が掲載されている。
その精神教育資料に参考資料に書かれていないものとして、「遺訓と家訓」があるが、これは兵学校の教育の中で、上級生や後輩に、あるいは教官が、雑談の中で語り、訓えたものであり、東郷元帥の「五省」とともに、青少年の心に大きな教訓を遺し、また人生の指針とされたり座右銘とされたものであるとして、福沢諭吉翁の「心訓」が一番最初に書かれている。

<一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事である。
一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事である。
一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事である。
一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活を羨む事である。
一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩に着せない事である。
一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事である。
一、世の中で一番悲しい事は、嘘をつく事である。>

えらく納得できるものですが、ウィキペディアにはこれは福沢翁のものではないと書かれている。

以下ウィキペディアより
<福澤心訓
「福澤心訓」(ふくざわしんくん)は福澤諭吉が作成したとされる7則からなる教訓である。実際は福澤の作ったものではなく、作者不明の偽作である。「福沢心訓」、「福沢諭吉翁心訓」、「福沢心訓七則」、「諭吉心訓」、「心訓」、「七則」などとも呼ばれる。
略)
「福澤心訓」は作者不明の偽作であるため、いつ、誰が、何の目的で作成したのか不明である。
小説家の清水義範は、小説中の文学探偵の推理として、福澤諭吉の「ひびのおしえ」にある「おさだめ」を参考にして「福沢心訓」が作成されたではないかとしている。それは、「おさだめ」の第1番「一、うそをつくべからず」が「福沢心訓」の「一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です」に類似し、「おさだめ」の第7番「一、ひとのものをうらやむべからず」が「福沢心訓」の「一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です」に類似しているからである。
以下、参考のため、福沢(1980)収録の「ひゞのをしへ」から引用する。
おさだめ
一、うそをつくべからず。
一、ものをひらふべからず。
一、父母(ちゝはゝ)にきかずしてものをもらふべからず。
一、ごうじやうをはるべからず。
一、兄弟けんくわかたくむよふ。
一、人のうはさかたく無用。
一、ひとのものをうらやむべからず。
さらに、清水義範は、小説『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』中の文学探偵に、いつごろ、誰が、何を目的として、「福沢心訓」を作成したのか推理させている。

富田正文は『福澤諭吉全集』第20巻の附録に以下のような「福澤心訓七則は僞作である」と題した短文を寄せている。
福澤心訓七則は僞作である

三、四年前からときどき「福澤諭吉心訓七則」というものに就いて、あれは全集のどこに出ているかと尋ねられることがある。初めは何のことかわからなかったが、まもなくその印刷物を見せられた。
「一、世の中で一番樂しく立派なことは一生涯を貫く仕事をもつことである」以下箇條書きにして七條ある。初めは「福澤諭吉訓」といっていたが、だんだんに「福澤諭吉心訓七則」という標題ができあがったようで、ちかごろは方々でその印刷物を見るようになった。
書いてある七條はいずれも立派な訓えで誠に恥ずかしからぬ文言であるが、文體は明らかに現代文で、福澤の明治時代の文章とはハッキリ違っている。もちろん、福澤の書いたものではないし、福澤の文章の中から拾い出したという形跡も見當らない。誰かの創作であろうが、惜しいことにその作者は自分の名の代りに福澤諭吉の名を借りて來たばかりに、自分の創作した訓えの一つにそむく結果となってしまった。その訓えとは「一、世の中で一番悲しいことは嘘をつくことである」!!
― 富田正文、『福澤諭吉全集』第20巻(附録)、p.10>

いいことは言っているのだが、まあ、とりあえず、福沢翁の作とは違うようであり、そして、ウィキペディアに引用されているようにこの福沢翁の名を借りた作者は嘘を言うなと書きながら、嘘を言うことになっているのがなんとも滑稽というか悲しい結果となっている。

アホらし

ドンチャン。
記憶あり。
猿よりマシ。
エビでもない。