今更ながらの酒税3

11月21日月曜日晴れ◯
過去も現在も酒税は我が国の歳入にとって重要なものの一つです。
よく大げさに言われているように産業構造が今と違う時代、日露戦争は酒税で戦えたと言われるほどでした。
ただ、取りやすいところから取るというのは昔から変わってなかったわけで、たの税金より増税が容易だったのが酒税が狙われるわけです。
ビールの税金が高いので、そのビールにはならない発泡酒を開発すると、発泡酒の税金を上げ、発泡酒にならない第三のビールを開発する羽目になっている。
下記は平成二十三年六月八日に「今さらながらの酒税」と題して日記に書いたことです。

 以下再掲載
 <ビールの大瓶(六三三ml)三百四十五円にかかる税金は、酒税百三十九円、消費税十六円と約四十五%だそうで、酒税でみるとなんとドイツの二十倍!米国の十二倍だそうです。
 ビール税は明治三十四年に導入され、日露戦争の戦費を賄ったというのはまんざら嘘ではないそうです。

 我が国には食文化というか旨い酒を育てようなどという気持ちもなく、取りやすい酒を優先という考えのようです。

 わかりやすいのは、ビールメーカーがビールの高い税金を避ける為に発泡酒をヒットさせると、発泡酒の税金を高くする。
 でっ、ビールメーカーが発泡酒でないいわゆる第三のビールを開発する。

 でも、随分前の「SAPIO」にて連載されている「おバカ規制の責任者出てこい!」(原英史)の「最七回 左党のしょっぱい話」(平成二十三年二月九日/十六日号)としてその酒税が取り上げられていましたが、高い酒税のいいわけは「消費税」だという役人の国会答弁にはぶっ飛びました。

 その答弁とは下記のようなものです。

– 参 – 大蔵委員会 – 10号
昭和59年04月05日

塩出啓典君 それで、この国税収入に占める酒税の割合は、我が国の場合は今回の値上げでたしか六・一%になる。これは先進国では世界最高ですね。それから衆議院の大蔵委員会の論議の中でも、一本例えば六百三十三ミリリットル、ビールの大瓶当たりの税金にしても、これはある一つの試算として百二十六円六十六銭だと。ところが、その次の英国が五十七円、米国が十八円、西ドイツは八円、フランスは二円と、こういうように我が国が飛び離れて酒税、酒に対する税金が重いし、財政の中で酒の占める割合が非常に高い。こういう事実は認めますか。
政府委員(梅澤節男君) 我が国の酒税の国税収入に占めます割合が先進諸外国のそれと比較いたしまして必ずしも低い水準にはないということ、それから酒類別に税負担の水準はいろいろございますけれども、例えばビールにつきましては先進諸国の中で高い水準にあるといったようなことは、御指摘のとおりであると存じます。
 この酒税の税負担をどのように位置づけるのか、その国の税体系の中でどういうふうに酒税の税収なり税負担を設定するのかというのは、これはその国のさまざまな事情によって影響されるところでございます。一般的に申し上げまして、酒税は特殊な嗜好品といいますか、致酔飲料として、いわば財政物資として税負担を求めるという側面と、消費一般に対して税負担を求めるという側面と、二つあるわけでございます。これも必ずそういった傾向になるということではございませんけれども、端的に言いまして、例えば西欧諸国のように付加価値税という一般的な消費税体系を持っております国では、各商品について相応の税負担を求めますから、ある財源を確保する、同じ財源を確保するとした場合に、そういう一般的な消費税の体系を持っている国と、我が国のようにそういうものを持たない国との場合では、他の物品との関係におきまして酒税の税負担が相対的に高くなる傾向を持っておるということは、これは否定できないのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
 現実に個人消費に占めます酒税の割合を見ましても、我が国の場合、これは五十七年の計数でございますが、諸外国に比べまして必ずしも低くないわけでございます。それは我が国の場合は、国税収入に占めます酒税のウエートが高いということからもわかりますように、我が国の税体系あるいは財政の仕組みの中では、酒税に相対的に高い税負担を求めておるという形になっておることは否定できないと思います。

鈴木和美君 もう一つ、大臣の答弁をいただく前に局長で結構ですが、先ほどのお話の中にも、ヨーロッパとか、アメリカとか、いろいろな外国の事例がたくさん出されまして、印象として日本のお酒は決して高くないというような意味のことのお話があったんでございますが、それは私に言わせますと、先ほどの文化論ではございませんけれども、それぞれの国々の特殊性がありますから、日本の所得水準とか、それから生活の態様などなどを考えてみた場合には、余り外国の例というのは参考にならないんじゃないかというように私は思うんですが、いかがですか。

政府委員(梅澤節男君) おっしゃるとおり、酒税のような個別消費税の問題につきまして、特に酒類ごとの税負担は各国の歴史あるいは沿革によりましてまちまちでございますので、各国の例がそのまま参考になるということではないということは御指摘のとおりでございます。
 それから先ほど私が外国の例を引いて申し上げましたのは、外国の例に比べて日本の酒税の負担水準が低いんだというふうなことを申し上げたんではございませんで、まさに例えばビールのようなものは高こうございますし、蒸留酒のようなものは我が国のよりも高い国もありますけれども、低い国もございますし、果実酒のようなものでございますと、我が国の場合は低いというふうなことも申し上げながら、ただ、特に西欧諸国のように一般的な消費税を持っている国とそうでない場合、酒税に対する他の消費との関係で相対的に負担水準が高くなる傾向は否定できないというふうなことを申し上げたつもりでございます。

 この時にこのように答弁したのは、当時の大蔵省主税局長であった梅澤節男氏です。
 でっ、このように答弁した梅澤氏の主税局長在任中であるその五年後の平成元年に消費税が導入されたが、ビール等の酒税は安くはなっていない。
 むしろ、高税率なビールを避けてビールメーカーが開発した発泡酒の税金もあげてきたので、第三のビールというビールでない飲み物まで登場して来た。
 其の後、第三のビールに対してまで増税の話が出てきている。
 
 取りやすいところから取る。食文化等どうでもいいという典型です。

 食文化といえば、他国では、酒を文化として捉えているところが多く、ドイツの純粋令などが典型的であるが、我が国には国酒である日本酒(清酒)においても嘆かわしいばかりの品質の酒が「日本酒」というジャンルにおいて堂々と流通している。

 需要があるのだから、無くすわけにはいかないだろうが、せめて、七割を占める普通酒といわれる(この名称もいかがなものか)酒はリキュールとしてほしいものである。

 まあ、こうやって書くと、普通酒にも旨い酒があるとメールで言っている人が必ずいるんだよなあ。
 そりゃあ、本醸造、純米、大吟などでも不味い酒はあるが・・・・・・>

そして、昨日、今日とあったニュースです。
<ビール類55円 酒税統一、32年度から 政府・与党調整 5年かけ3段階で
産経新聞 11/20(日) 7:55配信
ビール類の税額は統一へ、ビールの定義も見直す(写真:産経新聞)
 政府・与党が、麦芽比率などで異なるビール類の酒税を平成32年度から5年程度かけて一本化する調整に入ったことが、19日分かった。3段階に分けて、350ミリリットル缶当たり約55円に統一していく。29年度税制改正大綱に盛り込むことを目指す。

 税率一本化に5年程度かけるのは、ビール類の価格が急変することで個人消費が腰折れしないようにすることや、メーカーの商品開発の見通しを立てやすくすることが念頭にある。

 現在、ビールの税額は350ミリリットル缶で77円、麦芽比率25%未満の発泡酒が47円、麦芽を使わないものもある第3のビールが28円。類似商品の税額格差は、公平性や企業の商品開発をゆがめ、ビールの国際競争力の低下を招いている。

 税額を全体の税収規模が変わらない約55円にそろえれば、ビールは値下げになり、発泡酒や第3のビールは値上げになる。安くなったビールを飲む消費者が増える可能性はあるが、安い第3のビールなどを飲んでいる人の負担は増える。

 ビールの定義も見直す。ビールの原料は麦芽とホップなどに限られているのを、オレンジピール(果皮)のような香料も認める。麦芽比率も67%以上から50%以上に下げる。

 ベルギービールのように、麦芽比率50%以上でオレンジピールなどで風味をつけたアルコール類は、日本では発泡酒だが多くの国ではビールとみなされている。見直しには、多様で世界に通用する国産ビールの開発を促す狙いがある。>

<日本酒、ワインも税額統一=20年以降、段階的に35円―税制改正
時事通信 11/21(月) 23:19配信

 政府・与党は21日、同じ醸造酒でありながら税額の異なる日本酒とワインについて、税額を段階的に統一する方向で調整に入った。

 2020年10月以降に2段階で、350ミリリットル当たり35円に一本化する。日本酒は減税、ワインが増税となる。与党の税制調査会で調整し、17年度税制改正大綱に盛り込む。

 現在の酒税は、350ミリリットル換算で日本酒が42円、ワインが28円となっている。これを中間の35円とする方向だ。>

ビールについての税金も結果として目先のごまかしで済ますようですし、日本酒と呼ばれている酒の大部分を占める本醸造以下の酒についても見直す気配はないです。
取りやすいところから取るというわけで、酒文化を育てようなどという気持ちは役人どもはこれっぽっちも持ち合わせていません。

アホらし

今日は飲まず。
猿でもエビでもない