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岡本行夫

平成20年12月2日火曜日晴れ △
 「中国は穏やかになってきた」産經新聞一一月三〇日の一面に「人界観望楼」と題されたコラムの題名です。
 岡本氏は田母神氏の論文に賛成できないとし、中国の対日感情はよくなってきたとその理由として、ご自分が外務省の依頼で支那に於いて講演したときの聴衆の反応だという。「日本軍が繰り返し爆撃した重慶」でも聴衆が温かかったとして、小泉首相の心情を説明し<どうぞ小泉さんを嫌いにならないでください>と結んだら、拍手が起こって驚いたそうです。
 そして、<貧しい中国は何をするか分からないと何度も聞かされた。それから一〇年以上。時代は変わった。中国は猛烈な速度で豊かになり、廈門は瀟酒な海岸都市になった。人口三〇〇万人。町の美しさは世界でも屈指だろう。豊かになって余裕をもった中国人が金門島を見る目は穏やかだ。勝負はついた感がある。
 日本の対中感情は良くない。中国にケチをつけるのが流行になった。村山談話を修正しろという議論も増えた。「私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さねばならない」と。過去の過ちを認めた途端に、今の日本に誇りを持てなくなるのか。
 日本は成熟した国だ。そろそろ中国の悪口を言うのも、過去の話ばかりするのも止めて、前を見ないか。中国とも余裕をもって向き合うときだと思うのだが。>

 その前日(一一月二九日)の同じ産經新聞の同じ場所に掲載された東亜春秋という編集委員の山本勳氏のコラムは「手ごわさ増す中国微笑外交」と題されたものでした。
<世界金融危機を契機に中国が国際社会で存在感を高めている。略)しかし、中国が軍拡やチベット、新羅ウイグルの民族抑圧を続ける膨張志向の独裁国家である現実が変わったわけではない。日本は中国が微笑の裏に秘めたしたたかな戦略を読み取り、独自の多角外交を展開すべきだ。
略)
 だが、胡主席や温家宝首相の微笑外交には注意を要する。相手国の警戒心を解き、中国がアジア太平洋の覇権獲得をめざして急軍拡や台湾統一工作を着々と進めている厳しい現実を忘れさせるからだ。
 チベット、新羅ウイグルの両自治区では一触即発の緊張が続いている。中国はダライ・ラマ一四世との対話を再開したが、チベットの自治拡大には一切応じていない。
 にもかかわらず、かって「中国は戦略的競争相手」と警戒心をあらわにしたブッシュ米大統領は「米中関係は過去最良」(八月の訪中時)と様変わりだ。
 略)
 日中間では六月に東シナ海ガス田共同開発で合意したが、中国が最終文書の作成を渋っている。日本近海における中国海軍の行動はますます活発化している。
 江沢民時代に一段と改悪された反日歴史教科書は、そのまま学校で使われている。強大化する中国との間で解決を急ぐべき懸案が山積みしている。そのためにも、日米関係を最強化し、インドや韓国、ロシアなど周辺国との連携を強める必要がある。>

 う〜ん、私は岡本氏のコラムを読んだときに朝日新聞のコラムかと思ってしまいました。岡本氏は外務省の依頼で、支那に行き、共産党支配下において、全くの一般人相手に講演してきたとでも思っているのであろうか。そして、その一般人が田母神氏の論文内容についてどれだけ知っているのであろうか。
 村山談話が正しいとでも思っているのであろうか。まるで、相手の嫌がることはしないという今までの外務省の伝統そのままの言いぐさです。
 
「悪口を言うのも、過去の話ばかりするのも止めて、前を見ないか。」とは支那朝鮮に対して言って欲しい文句です。岡本氏は講演の聴衆者の態度がいいから穏やかになってきたと感じているだけです。そして、岡本氏の最後の言葉は、今でも戦後体制の呪縛から逃れられていない人間特有の匂いを漂わせています。


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