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究極の飲み屋

文責はすべて酒たまねぎや店主の木下隆義にございます


平成12年6月24日土曜日
 私は酒が好きですので、毎日飲んでいます。そして、どうせ飲むのなら旨い酒だけを飲みたいと思っています。しかし、少ないと思いますが、酒よりもその店の雰囲気で美味しく飲ませてくれる店もあります。
 その小さな店を、究極の飲み屋といっていのかどうかわかりませんが、私が、今までいった飲み屋さんの中では、最高にショックを受けた店でした。数年前、私は東京でお世話になった、飯野さんが、奥さんと『よしの』という居酒屋をやっている函館へ遊びに行き、数日間お世話になりました。お店が休みの時に連れて行って下さった店の一件がその店でした。飯野さんが、北大時代から行っている店だそうで、おばちゃんが一人でやっている小さな店です。何がすごいのか、私にもハッキリとはわかりませんが、その店の雰囲気が最高なのです。凄い酒があるわけでもありません。すごいつまみがあるわけでもありません。半分に割った竹を使ったカウンターだけの店で、座ってチュウハイとかビールを頼んで、つまみを何かというと、『じゃあ、イカでもあぶろうか』とおばちゃんの頭の上に張ってある紐にぶらさがっている生干しのイカをカウンターの中にある囲炉裏で焼いて出してくれました。大学時代から来ている人たちが多いそうですが、お客さんとお店との感じが何ともいえない居心地の良さを与えてくれる店でした。この様な店へ行くと、あの酒がどうだとか、この酒がどうだとか、このマグロは、この鯖はどこがいいとか、いって商売している自分がはずかしくなるような店でした。飯野さんも帰りにおっしゃっていましたが『あの店はおばちゃんが、いなくなるとあの店でなくなる。』
 函館の『野武士』またおじゃましたいです。
(おすすめの店かというと、少し違ってくると思います。酒、肴がうまいとかハッキリとしたものがございませんので、その店の雰囲気などは人によって感じ方が違うでしょうから、どうってこと無いと思う人もいるでしょう。グルメ雑誌の取材ではありませんのであしからず。)

 追記

 その後、平成二十四年に函館の「よしの」さんに伺った時に、飯野さんから、随分前にこの「野武士」は閉店したことを知らされました。オーナーあってのお店であり、オーナーが引退されたら誰がyっても「野武士」ではありえないということでした。


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