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主張

「日朝首脳会談」
正常化交渉の再開を率直に評価


 小泉首相と金正日総書記は十七日に平壌で行なった日朝首脳会談で長きにわたる両国の不正常な関係を、相互の信頼関係に基づく国交正常化の実現に向け、来月から交渉を再開することを決めた。同日発表した「平壌宣言」で「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが双方の基本的利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる」との共通認識で国交正常化交渉を再開することになったことを、わが党は率直に評価する。

 戦前・戦中の三十五年間の日本による植民地支配に続き、戦後五十七年間に及ぶ不正常な関係を国交正常化に紡ぎ上げるには、双方のねばり強い実現への意思と努力が要求される。長い不幸な歴史の中で両首脳が初めて会談し、国交樹立へ強い決意を表明したことは両国民にとって歓迎すべきことであり、両政府は実現へ向けて誠実に取り組まなければならない。

 首脳会談では、金正日総書記が初めて拉致の事実を認め、謝罪した。生存者が五人、亡くなられた方が八人という衝撃的な内容に憤りを禁じ得ない。これまで朝鮮労働党は、社民党が参加してきた森団長、村山団長の二度にわたる訪朝団との会談で「拉致は存在しない」「行方不明者として調査する」と対応してきた。社民党も同会議の席上、拉致・行方不明者の生存確認の追究を厳しく求めてきた。

 しかし、今回明かされた事実は今までの対応と全く異なる内容であったと言わざるを得ない。

 わが党は、人道上、決して許されない犯罪である拉致がどのように行なわれ、拉致された方が北朝鮮でどのように扱われたのか、亡くなられた方の死因など、徹底した真相究明を求めるものである。宣言は、在日朝鮮人の地位に関する問題の協議、国際法を順守し、お互いの安全を脅かす行動を取らないこと、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のために関連するすべての国際的合意の順守を確認。北朝鮮はミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降もさらに延長するとの意向を表明した。また、日本の植民地支配に対する謝罪が盛り込まれた。これをわが国の基本的姿勢として深く認識し、誠意をもって国交交渉に臨み、憎しみの連鎖から両国を解き放つ国交樹立へと努力することが、朝鮮半島の民族和解、北東アジアの平和と安定に大きく寄与することになる。

社会新報2002年9月25日号より
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