エノラ・ゲイ(原爆投下にみるアメリカ人の感覚)

平成19年11月12日月曜日晴れ ○
 エノラ・ゲイの航空日誌が四一〇〇万円で落札というニュースがありました。
 以下引用
エノラ・ゲイ航空日誌、4100万円で落札=原爆投下の時間記述?米 (時事通信)
【ニューヨーク29日時事】1945年8月に広島へ原爆を投下した米B29爆撃機「エノラ・ゲイ」の航空日誌がこのほど、テキサス州ダラスの競売商ヘリテージ・オークション・ギャラリーズで競売に掛けられ、35万8500ドル(約4100万円)で落札された。同社が29日、明らかにした。
 この航空日誌は、エノラ・ゲイの搭乗員だったセオドア・バン・カーク氏が記述。一番左に通過地点が地名や経緯度で、次いで通過時間が同機の出撃したテニアン島の現地時間で記されている。

 「Bomb Away」(爆弾投下)の欄には、原爆投下の時間を示す「0915 15」(日本時間午前8時15分15秒)と鉛筆で書かれている。右の余白には10時52分(同9時52分)に「Cloud Gone」との記述もあり、帰還中の同機からは1時間半以上にわたって原爆のきのこ雲が見えていたことが分かる。 
[時事通信社]
[ハ2007年10月30日9時22分]


 どうして、このようなものに四〇〇〇万円以上もの値段がつくのか。そのわけは、日本に落とした原爆をアメリカ人がどのように考えているか。それにより答は導かれます。
 広島に原爆を落としたボーイングBー29・エノラ・ゲイ号は、現在、スミソニアン航空宇宙博物館に展示されている。スミソニアン博物館の設立趣旨は「我国(アメリカ)の航空及び宇宙飛行の発展を永く記憶にとどめ、歴史的に興味深く意味のある航空及び宇宙飛行機器を展示し、その歴史を研究するための歴史的資料を提供する」となっている。(この博物館の設立を提唱したアリゾナ州選出上院議員バリー・ゴールドウォーターの議会公聴会での言葉)
 この趣旨に沿って、ライト兄弟の「ライト・フライヤー号」、リンドバーグの「スピリット・オブ・セントルイス号」、アポロ十一号などが展示されている。
 つまり、
エノラ・ゲイは歴史的に意味のある記念すべき飛行機であるとしているのです。


 それについて、高山政之氏の著書「情報鎖国・日本 新聞の犯罪」によると、一九九九年の暮れに、同じアメリカのUSA・TODAY紙がバックアップするメディア博物館「Newseum(ニュージアム)」が「二〇世紀に起こった百大ニュース」という全米のジャーナリスト、シンクタンク研究者、大学の政治、近代史関係教授などの
専門家を対象に行なわれたアンケート結果で、第一に「広島、長崎への原爆投下」となっています。それにより日本が降伏したからだそうですが、これがアメリカ人の考え方です。
 ちなみに第二位は「アームストロング人類初めて月面に立つ」、第三位「日本、パールハーバーを奇襲」です。
 
 高山氏がネバダ州にあるエネルギー省の核実験サイトを訪れた時、アメリカ政府
核実験リストを見る機会があり、それには一九九四年現在までのアメリカが行なった七二四回に及ぶ核実験が、日付け順に記載されていたそうで、下記のようになっていたそうです。
 第一回、実験地 ニューメキシコ州アラモゴルド、核爆弾の種類 プルトニュウム型、実験タイプ 塔の上に固定。
 
第二回、実験地 ヒロシマ、核爆弾の種類 ウラン型、実験タイプ 空中投下、規模一・五トン、状況 戦時下。
 
第三回、実験地 ナガサキ、核爆弾の種類 プルトニュウム型、実験タイプ 空中投下。

 
アメリカにとっての広島、長崎への原爆投下は「人体実験」であり、無差別殺戮だったということをアメリカ政府が自ら認めているわけです。


 手元の他の本には下記のような記述もあります。
 <標的選定委員会は最初の選択として、京都、広島、横浜の各都市および小倉市内の軍需工場一ケ所を核攻撃することを勧告した。アーノルド将軍は北九州北部に位置する小倉をとくに支持した。というのは、小倉と本州はトンネルで結ばれているので、トンネルが水没するのかどうか、どの程度激しく漏水するのか、および原爆のなんらかの効果が北側の入口に伝わるかどうかといった
トンネルに対する原爆効果を、アーノルドは見たかったのである
「アメリカの日本空襲にモラルはあったか」(ロナルド・シェイファー著 深田民生訳 草思社 一九九六年刊)P二〇二

、<兵器技術に対する陸軍航空軍の血迷った関心は、炸裂効果を見極める関門トンネルに原爆の爆風を送り込みたいという期待によく表されているように、人道的犠牲は実験の持つ軍事的価値にまさるかどうか、あるいはそもそもそれと比較評価できるものかどうかといった核兵器が提起する道義的問題に無関心を示唆していた。
略)
 戦中戦後の陸軍航空軍の指導者たちの行為や声明を検討してみると、彼らは本当のところ、自分たちの行為の道義的次元を認識しており、日本国民に対しておこなったことについてさまざまな正当化を図っていたことがわかるのである。>
同P二一一〜二一二
 
 こういう事実は、アメリカ人がよくいう「大東亜戦争を終わらせるために原爆を投下した」という言葉がいかに虚しい言葉であり、ウソであるかをよく現しています。

裏表紙